この記事は「アロマンティック・アセクシャルの特徴? – 過去の恋愛で嫌な目にあった?」に引き続き、
筆者がネットを見ていた際に発見した「アロマンティック・アセクシャル(AroAce)の特徴」についての記事について、書いていきます。
その記事では、アロマンティック・アセクシャル(記事内ではアセクシャルと統一して記載されていました)の特徴として、
「自身の過去の恋愛で嫌な目にあった?」、以外に「趣味に夢中になっている人が多い」も挙げられていました。
※恐らく、このネット記事を書かれた方は「アセクシャル=アロマンティック・アセクシャル」と認識しています。
AroAceの特徴の1つに「趣味に夢中になっている」というものがあるそうです。
AroAceの人って、恋愛に興味がないから、趣味に夢中になっている人が多いのでは?
AroAceの人って、恋愛に使う時間がないから、結果趣味に夢中になるの?
1つ目の発言を聞いたら、筆者はとても嫌な気分、2つ目はそんな方もいらっしゃるだろうと感じます。
初めてこの記事をご覧くださった方向けに、簡単に説明いたします。
アロマンティック・アセクシャル(AroAce)については、こちらの記事で詳しく触れています。
さて、今回はどこから話してまいりましょう・・・
では「AroAceの特徴は、趣味に夢中になっている人が多い」について話してまいりましょう。
AroAceの特徴「趣味に夢中になっている人が多い」?
さて、アロマンティック・アセクシャルの特徴の1つとして挙げられていた「趣味に夢中になっている人が多い」。
アロマンティック・アセクシャルの特徴!(正確にはアセクシャルの特徴!)を紹介した記事で、AroAceの特徴の1つとして、紹介されていました。
これを見た時の筆者の感想は・・・
やっぱりAroAceって、どんなんか分かってはらへんのとちゃいます?
と心の中でツッコミを入れました。
「趣味に夢中になっている人が多い」をAroAceの特徴として挙げること、筆者は何1つ共感できない。
恋愛に使用する時間がないから、自分の好きなことを結果している時間が多い、と言いたのかもしれませんが・・・
①AroAce=趣味に夢中になっている人?
「AroAceの特徴!趣味に夢中になっている人が多い」と、最初に見た際は、目が丸くなりました。
・・・え、どういうこと?本当に意味が分からない。私の特徴は趣味に夢中になっている?
自身が言葉に対して過敏になりすぎていること、否定できません。記事の挙げ足を取りたいわけでもありません。
そして、記事の作り手側が「アロマンティック・アセクシャル」と「趣味に夢中の人が多い」の間に決定的な因果関係を確立させたいわけではないこと、わかっているつもりです。
しかし当事者としては、この書き方は危険ではないかと感じます。
アロマンティック・アセクシャルの定義は「他者へ恋愛感情を抱かず、他者へ性的に惹かれない」セクシャリティーのことです。そのはずです。
まずもって、個々の趣味と恋愛的指向と性的指向の間に因果関係があるのか、疑問を抱きます。
趣味に夢中なAroAceもいるし、夢中になっていないAroAceもいます。
趣味に夢中だと、AroAce?AroAceの特徴は趣味に夢中になっている?色々お忘れではないかと思います。
- 趣味に夢中になっている同性愛者の方は?趣味に夢中になっている異性愛者の方は?
- 趣味に夢中になっている同性愛の方がいたら、同性愛の特徴は趣味に夢中になっている人が多い、になるのでしょうか?
アロマンティック・アセクシャルではなくても、趣味に夢中になっている方は多くいます。
もしかして「本来なら恋愛に使用するであろう時間を、恋愛しないから趣味につぎ込んでいる・つぎ込むことが可能」だから、
アロマンティック・アセクシャルは趣味に夢中なんだ、そんな人が多いんだと、本当に言いたいのでしょうか。。。
恋愛に使用する時間はないので、結果として、自身のやりたいこと=趣味や仕事に精を出すアロマンティック・アセクシャルの方もいるでしょう。
それはそれで間違いないことかと思います。
筆者の趣味、昔はよくマインクラフトしていましたね。帝国作るぞって。
いずれにしても、AroAceの特徴として「趣味に夢中になっている人が多い」と挙げるのは、些か早計なのではと感じます。
本当に悩んでいる方がその記事を見たら、と思うと当事者としては歯がゆいです。
②AroAce=恋愛が後回しになっている?
これもまた友好的な物言いではなく、申し訳ないですが・・・
アロマンティック・アセクシャルの特徴は「趣味に夢中になっている」。
もしかして、趣味に夢中になっていて「恋愛が後回し」になっていると言いたいのでしょうか?
「私は今趣味に夢中だから、恋はいいの。他に集中したいものがあるの」と、おっしゃいたいわけではありませんよね。。。
もしそうならば、恋愛感情を抱く・抱ける前提でお話されているようで、眩暈が・・・
【恋愛を後回しにできない事情があります】
- アロマンティック・アセクシャルである筆者は、恋愛を後回しにはしません。
- 正確に言うのであれば、恋愛を後回しにできません。なぜなら、筆者はアロマンティックだからです。
- アロマンティックは「他者に対して、恋愛感情を抱かない」恋愛的指向を持った人を指します。
- そもそも、恋愛感情を抱けない/抱かないので、後回しも・最優先にするも関係ないのです。
恋愛感情を抱ける方で、趣味に夢中もしくは優先して恋愛を後回しにする方は、いらっしゃると思いますが、
アロマンティック・アセクシャル(正確に言うとアロマンティック)は、恋愛をしません/できませんので、後回しにはなりません。
恋愛をお取り置きしているわけではありません。
趣味が落ち着いたら取に来るね。ちょっとゆっくりしてて。とはなりません。
前回の記事でも書きましたが、アロマンティックに至る経緯として・・・
- 筆者のように生まれながらにアロマンティックだったと思っている、アロマンティック
- 過去に恋愛感情を抱いた経験があるが、今は理由があり他者に対して恋愛感情を抱かない状態となった、アロマンティック
自認までの経緯は人それぞれであり、現在の自身の状態を表す言葉として「アロマンティック」が1番しっくりくるのであれば、皆さんアロマンティックです。
セクシャリティーは他者から決められるものではなく、自分で決定するものです。
この記事では、先天的にアロマンティックだった前提で書き進んでいます。
しかし、後天的なアロマンティックであっても、アロマンティックであることに「趣味に夢中」は関係ありません。
後天的にアロマンティックである方にとっても、恋愛をお取り置きしている訳ではない、ことは記載いたします。
筆者の経験を基に考えると、後天的にアロマンティックになった方を気にしていない書きぶりになりかねないので、補足です。
さて、こちらの記事を書かれた方、AroAceの意味をおわかりなのか・・・
どんな気持ちで書かれたのでしょう?何もお考えはなかったのかもしれません。
当事者を含めた読み手が「あぁ、なんとなく分かる、そんな感じかもね」と、軽めのニュアンスをくみ取ってもらえたらOKとしていたのかもしれません。
記事を作成される前に、1回でもアセクシャルやアロマンティックと検索ボックスに入力してくれたのでしょうか。。。
③AroAce=恋愛したいという気持ちになれない?
筆者の息の根がどうにかなりそうです。
記事を書かれた方の補足の文章を見ましたが、筆者のモヤモヤは解消されることなく、息の根がどうにかなりそうなくらいの眩暈がしました。
「趣味に夢中になっているから、恋愛したいという気持ちになれない」それがアロマンティック・アセクシャルの特徴です!?
本当に困っている方がサイトを訪れた時、その方にそう伝わっても良いのでしょうか・・・?
眩暈がしたなんて言いながら、少し考えると、実は半分正解かもと思いました。
また細かいことを話し出しますが、お付き合いください。
【趣味に夢中になっているから】
- ①で書いた通り、趣味に夢中になっている人が、AroAceとは限りません。
- AroAceではない方の人数が圧倒的に多いかと思います。
- 従って、AroAceの特徴として挙げるには、無理があるかと思います。
【恋愛したいという気持ちになれない】
- これはAroAceを自認されている人、それぞれかと思います。
- しかし「恋愛したいという気持ちになったこともないし、そもそも恋愛感情も抱けない」=「恋愛したい気持ちになれない」とするなら、ある程度、真理をついていると思います。
昔の筆者について言えば、実はちょっと違います。
恋愛感情を抱けないからこそ、恋愛ってどんなんかな?してみたいな、と思ったこともあり、恋愛してみたいという気持を過去抱いたことがあります。
切望まではしておらず、あくまで憧れ・興味関心に留まります。
現在の筆者の状態は「恋愛したいという気持ちになったこともないし、そもそも恋愛感情も抱けない」。
他のAroAceの方にも同じ感覚の方はいると思いますので、半分は正解なのではないかと思うところです。
「趣味に夢中になっているから」→「恋愛したいという気持ちになれない」。
後半部分はある程度本質を語っているとは思いますが「恋愛したい気持ちになれない」理由は「趣味に夢中がから」ではまずないでしょう。
AroAceの筆者の気持ち
個人的に「AroAce」について、世の中の皆さまに「わかってほしい」とは、正直思っていません。
決して差別をしない方、決して陥れようとされない方が「恋愛しないって人生つまらなくないですか?」と、
傷つける意図なんて一切ないのに「意図せず」このような発言をする場合があります。
しかし、こんなことを言ってしまう・傷つけるとはわからないくらい、大多数の方にとっては「ない世界」なのです。
- なぜなら、恋愛を当たり前のようにこなせる方が、世の中の大半を占めているから。
- 恋愛できる方にとって、恋愛しない/できないことは現実味がなく、自身の感覚・感情からかけ離れ過ぎるから・
- 当たり前のことが出来ない・しない人への理解がまず難しいから。
それくらい、アロマンティック・アセクシャルとは、大多数の方から理解しがたい指向です。
筆者は「みんなに、わかってほしい」とは思いませんが、「わからないなら、存在だけは否定しないでほしい」とは思います。
こんなことを言っているとの同じでは?
その記事を書かれた方はAroAcceの特徴について、このように話していらっしゃいます。
(意味を壊さないように筆者の言葉でまとめなおしています)
アセクシャルの特徴の1つには「趣味に夢中になっている人が多い」というものがあります。
彼らは趣味に夢中になっており、異性との恋愛が後回しになることで、異性と恋愛できない状況にいるのです。
極論です。極論ですが、記事を作成された方はこんなこと言っているようなものと思えるのです。
同性愛者の特徴の1つには「趣味に夢中になっている人が多い」というものがあります。
彼らは趣味に夢中になっており、異性との恋愛が後回しになることで、異性と恋愛できない状況にいるのです。
言いますでしょうか?こんなこと。
記事数やメディアなどで取り上げられる回数が控えめなAroAceを記事として書いてくださることは、本当にありがたいことです。
その記事を読んで、自身の疑問を軽減したり、解決できたりする可能性がありますからね。
一方、その人の非常に個人的な部分・自身のあり方に触れるものであり、まさに悩んでいる人が目にすることも多々あるでしょう。
記事の内容には、一定以上の慎重さが必要になると筆者は考えています。
どこからこの特徴を見つけてきたのか、非常に気になるところです。
・・・当事者の方だったらどうしよう・・・
まとめ
AroAceの特徴は「趣味に夢中になっている」に対して、否定的な意見を書きました。
記事を作った方が、なぜこんな書き方をしたのかわかりません。
しかし、AroAceの特徴として「趣味に夢中になっている人が多い」と発信するのは、いかがなものかと。
アロマンティック・アセクシャルを自認している筆者は、感じるところです。
自認している者として、こんな風に「間違えないでほしい、間違った認識が広がってしまう」「本当に悩んでいる人を余計に惑わすことになる」と心中穏やかではありません。
一方、当事者でなければ情報を発信してはいけない、なんてありません。
しかし、悩んでいる方の「自身のあり方」に関わることですので、書き方には慎重になるべきかと思います。
アロマンティック・アセクシャルの特徴の1つには「趣味に夢中になっている」があります!
と発信するのは、できたらお控えいただけたらと思います。なぜなら・・・
- 趣味に夢中になっているのは、何もAroAceだけではないからです。
- AroAceだから、趣味に夢中になっているわけではないからです。
- 恋愛に使用するであろう時間を趣味につぎ込めるからと言って、特徴に挙げるのはいかがなものでしょう。
- 今は恋愛を控えていて、趣味に夢中になっているわけではありません。
- そもそも、恋愛を控えてはいません。なぜなら、恋愛感情を抱かないからです。
AroAceと趣味に夢中との間に、因果関係を確立させようとして書いているつもりはない、とわかってはいるのです。
しかし嫌な言い方ですが、その記事を書かれた方は、そこまで考えて書いてはいないように伺えます。
学術論文でもありませんからね。
今回のAroAcceの特徴については、賛同しかねるという結論で終わりたいと思います。