認知度の低さについて、実体験で一番ドキッときた出来事は「アロマンティックって人生つまらない!?」です。
アロマンティック・アセクシャルを自認されている方は筆者を含め、「アロマンティックは人生つまらない」なんて言われたら、「なんだってー!?」と思われる方が多いと思います。
筆者は激しい怒りの感情こそなかったのですが、些かの悲しさを覚えるやら、モヤモヤするやら、その発言を聞いた際は色々考えされられました。
今回の記事でも、筆者は切ないやら、やっぱり悲しいやら感情が色々動きます。
前回と少し違うことと言ったら、今回は「何てこと言ってくれてるんだい」という一定以上の怒りも発生したことです。
筆者が少しでも不快・怒りの感情を覚えた原因は何かと言いますと・・・
どなたかが、おっしゃっていたのです。「LGBTのQとかAとか必要なの?」と。
(この発言をされた方は筆者の知り合いではありませんが、聞いた媒体は失念してしまいました)
発言の意図や当事者が思ったことについて、話してまいります。
「LGBTのQとかAとか必要なの?」発言までの経緯と内容


この発言を聞いてしまった時、筆者は「悲しい」・「この人なにもわかっていない」・「この人、この発言だけでどれだけの人を不快にさせたんだろう」・「腹立たしい」等、主にネガティブな方向の感情が噴き出ました。
筆者の思いをお話する前に、この発言の内容をお伝えします。


・・・悪意なんて一切なく、こんなことを言われると少々泣きたくなります。
全体の会話の雰囲気としては、ふざけているようには見えず(若干の笑いを取りたい感じはあり)、仲の良い友人たちと普通に会話をしている印象です。
そして今回取り上げる発言についても「恋愛しないなんて人生つまらない」と言った同僚と同じく、
結局のところは「悪意なく、いらないでしょ?というご自身の意見をただ言っただけ」、なのだとは伺えます。
これだけなら、人生つまらないの発言をされた方も「悪気もなく、陥れる意図も一切なく、ただただ自身の感想を言っただけ」で同じなのですが、何が今回は異なったのか、お話します。
話していた方々の様子と面子
言わずもがな、LGBTに関連したトークをされていました。登場されていた方々や様子や面子は、この通りです。
- お話されていた方々のご年齢(当時)は20代~30代半ばくらいの、比較的若めの年代
- LGBTについて、自身が思っていることを話していた
- Lについて話す、Gについて話すといった感じではなく、ふわっと全体的な話をしていた
- 友人同士で話すような感じで明るい雰囲気(聞いていて嫌だなと感じる類の笑いはありません)
- 軽快に話をして、思っていることを話している感じ
- みなさんLGBTのどれかの立場ではない(=ストレート)ようです
※ストレート:異性に対して恋愛感情を抱き、異性に対して性的に惹かれる人(=世の中の大多数の方)
問題の発言を聞いてしまうまでの、筆者の感想としては・・・


どこまで知識を持っているかもわからないかも・・・でも、ないのかな?
- 良くも悪くも、世の中の縮図を表しているようでした。
- 男性が好きな男性がいることは知っているし、心の性と生物学的な性が異なっている人もいるんでしょ?くらいの認識。(この認識が悪い訳ではありませんし、批判されるものでもありません)
- ・・・でも知識や雰囲気としては、ストレートの方がストレートの人に囲まれて生きてきた感じにうかがえました。


どこまで本気で話しているかわからない・・・議論が目的ではないから当然かな。
- あくまで仲の良い友人が楽しく会話していて、たまたま話題がLGBTだったと言った方が適切かもしれません。
- 話題の提供としてLGBTは決まっていたのでしょうが、議論を目的にしていなのは一目瞭然。
- LGBTで笑いを取ることを目的にしていない、十分に分かりましたが、会話に内容があるのかと言われたら疑問符がつくところ。
色々書きましたが、LGBTについて話すことに何ら問題はなく、制限される理由もありません。
筆者も何か知りたくて真剣に見て/聞いていたわけではありませんので、お互い様です。


ストレートとして・・・と言われてもストレートって何?って言うんだろうな。
唐突に発せられた「LGBTのQとかAとか必要なの?」
何か友達で集まってLGBTについてふんわりと話していただけのはずが、、、と言ってもご本人達は引き続き、ふんわり話していただけなのでしょう。
しかしながら突然、お一人から発せられた言葉「LGBTのQとかAとか必要なの?」。
ぐっとこらえて、どのような発言だったかお話します。(ご発言の内容は一言一句正確なものではありません)


LGBTのQとかAとか必要なの?てか、どんどん長くなっていって、何がなんだかわからなくならない?


LGBTだけで良くない?わかるでしょ、何を言いたいか世間的には。一つ一つ名前いるの?名前を付ける必要があるの?


髪の毛が金色になって、毛が逆立ちして、スーパーな超人になりそうでした。
見事に筆者的の脳天へ「LGBTのQとかAとか必要なの?」「一つ一つ名前いるの?名前を付ける必要があるの?」がザックリ突き立てられました。。
筆者にとっては、鋭角すぎて驚きました。これまで書いた通り、一切悪気はないように見えたご発言。
笑いを取ろうとしたわけでもなく、誰かをを陥れようとした訳でも一切ない。
ただただ、自身が思ったことをそのまま発音しただけ。
その発言に対して周囲の方は「まぁそうかもねー」であったり、「確かにこっちはわからなくなっちゃうよねー」・・・
このような他愛もない言葉を返し、他愛もない会話が数回交わされた後、何事もなかったかのように話題は変わりました。
「LGBTのQとかAとか必要なの?」なぜそんな発言をしたのか?


些かぶっきらぼうですが、怒りも感じていますので、些かぶっきらぼうな言い方をお許しください。


その発言をした理由?そんなんすぐにわかるわ、自分が困ったことないからや。


自分が少数派になったことがないからや。自分が本当に悩んだことがないからや。


名前をつけてもらえて、名前が見つかって救われた人間がいることを知らないからじゃー
当たり前のことなのですが、所詮は自身にとって関係のないこと・縁遠すぎることで、悪気なくこんなことを言ってしまうのです。
前述した通り、笑いを取ろうと思った訳でも、誰かを攻撃しようとした訳でも、一切ない。
何を思って言ったのか?と聞かれたら、恐らく「何も考えていない」「自分の感想を言っただけ」。
その言葉でどれだけの人が、当事者が傷つくか想像にすら至らないのです。
しかし筆者にとっては、自身が悩んできたことや救われたことを全否定する言葉として認識することになり、強い不快感が生じました。
「ただの感想」に対して筆者が怒りを覚えた理由


筆者はアセクシャル(=アロマンティック・アセクシャル)という言葉に出会うまで、人を好きになれない自身とその事実と向き合ってきました。
恋愛しようとしては失敗、試しては失敗の繰り返し。
お医者さんにも実際会いに行くくらいには悩んだり、恋愛できる可能性を見出そうとしては砕けては散っていました。
筆者にとっては、自分以外の人が当然のようにする恋愛が「どうしてもできない事実」「恋愛感情がどうしても分からない事実」は非常に強いストレスでした。
- そもそも自身がLGBTに属せるのか、もしくは他に筆者の頭部に問題があるのか、それすら分からない。
- 筆者はLでもGでもBでもTでもないから、少数派と呼ばれる方々のグループにも自身の立ち位置は当時なかった。
LGBTに属せないならば、自身の頭部の問題かと思った次第です。
どこにも似たような考えを持っている知り合いはおらず、ひたすら「まだ好きな人と出会えていないだけ」と言われる日々。
もう30過ぎてますけど!?誰にも相談できない、誰にも言えない、親になんてとてもじゃないが言えない、心配させるだけ、そんなことはできない。
ほぼ諦めの境地にいた筆者がある日見つけた「アセクシャル」という単語。


この単語一つで、たった「6文字」の言葉が、筆者の人生を救ってくれました。
なぜなら、筆者の特徴(=指向)に名前がついていて、きちんと「こんな人たちだよ。こんな人もいるんだよ。」と教えてもらえたから。
こんなにありがたいことはありません。やっと自身の個性を受け入れることが、理解することができて、心の安寧にたどり着けました。


こんな風に思っている筆者の前でよくもおしゃべりあそばしましたわね「LGBTのQとかAとか必要なの?」と。


私はあなたが必要ないとおっしゃった、A=アセクシャル(アロマンティック・アセクシャル)です。
自身の人生を救ってくれた言葉「A」を否定するような発言と認識したため、筆者は怒りを覚えたのです。
「人生つまらない」に対して筆者が怒らない理由
ちなみに「アセクシャルは人生つまらない」で怒らずに、なぜ「LGBTのQとかAとか必要なの?」では怒るのか?
同じ「ただの感想」ではないのか?「悪気なく思ったこと言っただけ」なのではないのか?


こんな質問が飛んで来たら、確かになんで一方は怒り、もう一方は怒らないのか?筆者はブレブレなのか?と少し焦ります。
- 人生つまらないの発言をされた方は筆者の同僚で、良い印象を抱いていたから?
- QとかAとか必要なの?の発言をされた方は、全く面識のない方々だったから?


もし怒る/怒らないの違いがこんな理由だったら、少し我儘すぎますね。
一瞬、上記のような理由がよぎったのは間違いではありませんが、やはり違います。
- なぜ「LGBTのQとかAとか必要なの?」については怒ったのかと言うと、前述した通り、この発言は「筆者自身が悩んできたことや救われたことを全否定する言葉」と聞こえたから。
- 「筆者が必死に探した自身の立場とその名称を不要なもの」として発言したから。
- 「人生つまらない」についても「アロマンティックという集団への人格を傷つけかねない鋭い言葉」でありましたが、「LGBTのQとかAとか必要なの?」は「アロマンティック・アセクシャルという集団への存在の否定」に聞こえたから。
人生つまらないも、アロマンティックとしての人生を否定するような発言だとは実際に思いますが「恋愛しないってつまらない」、
こちらの言葉、言われたり思われているんだろうな~そういう人多いんだろうな~と、筆者も思っています。
恋愛感情を抱ける方同士でも、片方が恋愛を遠ざけていたら「恋愛しないって、人生つまらなくない?」と言ったり言われたりするものかとも思います。
「LGBTのQとかAとか必要なの?」に対して、怒りの程度は人それぞれでしょうが、少なくとも筆者は、
「わざわざ名前つけなくても良いんじゃない?名前って必要なの?」とおっしゃる方々に不快感を覚えます。
まとめ
「LGBTQIA+のQとかAとか必要なの?」という記事タイトルへの回答は簡単です。


はい、必要です。
話は逸れますが、自身が自身だけかもしれないと悩んでいた事に名前がついていたら、解決の糸口が見つけられると思いませんか?
受け入れられたり、悩みを解決するための方法を探し出せたりしませんか?前に進めませんか?


筆者は「名前が付けられていて救われた」「カテゴライズされて助けられた」側の人間ですが、世の中にはそうでもない方もいらっしゃいます。
カテゴライズに助けられたと思う人間がいる一方「知りたくなかった」と思う方も同時にいらっしゃいます。
名前が付けられていることが原因で「余計に苦しくなった方」については、今回の出来事や感じた怒りを筆者のようには覚えないのかもしれません。
筆者がそのような方の気持ちを察することは難しいのですが、いらっしゃるのは事実、否定だけは決してしないように気を付けているところです。
話を戻しまして・・・確かに色々な立場の人間が存在していて、その人たちの指向の頭文字を一つずつ言っていくのは、どんどん長くなってしまいます。
立場の数だけ名称があり、それを少数派として並べていくと収拾がつかなくなるのも、よく理解はできます。
「LGBTのQとかAとか必要なの?」の発言を受けて「確かにこっちはわからなくなっちゃうよねー」と反応した方がいらっしゃいましたが、おっしゃる通り、何が何だかわからなくなります。


言いやすいと言いますか、多数派の方から否定されない・面倒だと思われないために、なんか良い言い方ないですかね。
世の中的には「LGBT」という言葉がかなり共有できています。


筆者が思うに、LGBTという言葉は多数派・少数派関係なく、世の中の皆さんのためにある言葉かと思っています。
つまり、多数派に属している方への「こんな立場で生きている人もいるよ」という周知という意味合いの言葉にもなりますし、少数派の方々が自身の立場を自身で認識し、受け入れるための言葉でもあります。
LGBT(LGBTQIA+など、色々な言い方を含めて)とは、少数派の人が少数派であるという立ち位置を示す言葉です。
少数派を表す包括的な言葉でありますので、細かい話ですが、まずは少数派の方が自身のことを調べて認識する必要がありますね。
今なら、LGBTという言葉が出始めた時期と比べてネットに出回っている情報も多くなりました。
当事者の方については、色々な情報が出回っていますので、そこはご注意くださいませ。
「こっち=大多数の方」はわからなくなっちゃうのは、仕方ないことでおっしゃる通り。各人で興味・理解のレベルも異なるでしょう。


でも簡単に「わからない」と言われると、なんか勝手に「自ら望んだ訳ではないのですよ。。。」と短慮で発言しそうです(笑)
「確かにこっちはわからなくなっちゃうよねー」と聞いた時、捻くれた筆者は・・・
「わからなくなっちゃうよねー」=「そんな頑張って名前つける必要ある?」=「なくてもよくない?」にも聞こえてしまうのです。
【結論】
「LGBTQIA+のQとかAとか必要なの?」「必要」